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2009.1.11 減損会計 演習問題の正解と問題の解き方

2009110日付けの記事で出題した減損会計演習問題の正解は次のとおりです。 
http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/gensonkaikei_enshumondai_seikai20090111.pdf


 以下、減損検査の手順に従って、この問題の解き方を説明していきます。

〔問1〕の正解

①資産グループ(減損検査の単位)の確定
 ここでは問題文の条件により、X事業を資産グループにすることになっていますので、検討の余地はありません。

②減損の兆候の有無の観察
 定められた資産グループごとに、教科書の157ページで解説した基準に基づいて減損の兆候の有無を観察しますが、ここでは問題文により、「兆候あり」とされていますので、検討は不要。

③減損損失の認識
 減損の兆候が観察されたことから、X事業の20063月末時点での帳簿価額(未償却残高)と割引前使用価値の大小を比較して減損損失を認識する状況かどうかを判定します。
 ③-1 帳簿価額(未償却残高)の算定 
  建物:140,000×{406)/40}119,000
  機械及び装置:90,000×{256)/25}68,400
  工具及び器具:30,000×{86)/8}7,500
  のれん:40,000×{206)/20}28,000
  X事業の帳簿価額合計=222,900
 ③-2 割引前使用価値の算定
  ここでは、問題文により206,000万円とされている。
 ③-3 帳簿価額と割引前使用価値の大小比較
  222,900206,000 となることから、減損損失(帳簿価額の一部が回収できそうにない状況)が認識される。

④減損損失の測定
 減損損失が認識された場合、日本の減損会計基準では、その金額をただちに損益計算書に計上するのではなく、今度は帳簿価額と回収可能額の大小比較をして減損損失を測定し、帳簿価額>回収可能額 の時、その差額(回収不能と見込まれる金額)を減損損失として損益計算書に計上します。
 ④-1 回収可能額の算定
   「回収可能額」は、「割引後使用価値」(当該資産グループを継続  使用することによって今後得られると見積もられるキャッシュ・フロ  ーの割引現在価値)と「正味売却価額」(当該資産グループを一括清  算売却することによって得られると見込まれる正味キャッシュ・フロ  ー)を比較して大きい方とされる。なぜそうするかというと、合理的  な企業行動を想定すると、
 割引後使用価値>正味売却価額の時は当該資産グループを継続使用す  る、
 割引後使用価値<正味売却価額の時は当該資産グループを売却処分す  る、
と想定されるので、割引後使用価値と正味売却価額を比較して大きい方が回収可能額と考えられるからです。この問題では、
 割引後使用価値(188,000万円)>正味売却価額(119,000万円)
となっていることから、回収可能額は188,000万円となります。
 ④-2 減損損失の測定
  回収可能額-帳簿価額=188,000222,900=-34,900(万円)

⑤資産グループを構成する資産への減損損失の配分
 ⑤-1 のれんへの減損損失の優先的配分
   減損損失はまず、のれんに優先的に配分されます。その理由は、企
  業の資産の中でも、企業の収益力、競争上の優位性に起因するのれん
  の価値は企業を取り巻く競争環境の変化、それに伴う収益性の変動に
  最も影響されやすいと考えられるからです。この問題では、
   減損損失(34,900万円)>のれんの帳簿価額(28,000万円)
  であることから、減損損失34,900万円のうちの28,000万円がまず、
  のれんの減損として扱われます。
 ⑤-2 他の構成資産への残余の減損損失の配分
   のれんに配分後に残る減損損失6,900万円(=34,90028,000)は、
  他の構成資産に、それぞれの帳簿価額の割合に応じて按分される。
   建物への配分額:
    6,900×{119,000/(119,00068,4007,500}4,213
   機械・装置への配分額:
    6,900×{68,400/(119,00068,4007,500}2,422
   工具・器具への配分額:
    6,900×{7,500/(119,00068,4007,500}266

〔問2〕の正解

 貸借対照表上での減損損失(の累計額)の表示方法には、①各構成資産の取得原価から直接控除する方法、②各構成資産科目に対する控除項目(減損損失累計額)として表示する方法、③各構成資産に対する減価償却累計額に含めて表示する方法、があります。ここでは問題文により、②の方法が指示されていますので、それに従います。ただし、のれんは規則的償却をする場合も償却累計額を用いた間接控除方法は採らず、償却額を取得原価から直接控除することになっているので、減損処理をする場合も取得原価から直接控除する方法を採用します。
 (減損損失34,900  (のれん 28,000
            (建物減損損失累計額  4,213
            (機械装置減損損失累計額  2,421
            (工具・器具減損損失累計額)   266

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