10月27日の講義のまとめと補足説明
講義の補足資料(教室でプロジェクターで表示)
10月27日の授業では、はじめに前回の授業で説明した、「第4章 期中の会計」のおさらいをした後、「第5章 決算時の会計」に進みました。説明にあたっては、教科書の77ページに掲載した〔数値例4-1〕を素材にして、各取引がどのような借方要素と貸方要素が結合したものであるかを仕訳で説明しました。その際には、次のように、〔数値例4-1〕の各取引の仕訳を再掲するととともに、借方、貸方要素を記号で示しました。
〔数値例4-1〕の仕訳
http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/suchirei4-1_shiwake.pdf
また、「決算時の会計」の最初に登場する各勘定残高を残高試算表に集計する手順に関しては、次のような図解を使って説明をしました。
各勘定残高から残高試算表への転記(集計)
http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/TB_no_sakusei.pdf
決算整理の補足説明
1.商品関連記録における仕入勘定の性格
次に、決算整理事項に移り、教科書の88ページ以下に記した主な決算整理事項を順次説明しました。
10月27日の授業では、「5-2-1 商品関連記録の補正」、「5-2-2 各種引当金への繰入」、「5-2-3 有形固定資産の減価償却」まで進みました。
このうち、特に注意をしたいのは商品関連記録の整理の中の仕入勘定の性格についてです。毎年度、この箇所の授業のあと、「商品を仕入れたとき、なぜ、(借方)仕入と記入するのか、なぜ(借方)商品と記入しないのか?」という質問を受けます。
確かに、教科書の89ページの図表5-4で記したように、「仕入勘定」は期中では商品の受け入れ、値引き、返品等を表す「資産勘定」です。しかし、決算の究極の目的の一つである損益計算(ここでは売上総利益計算)の観点からいえば、期末決算に至ると仕入勘定の借方合計(=前期繰越高+当期純仕入高)は販売のために受け入れた商品の仕入原価合計を表すことになります。その上で、期末棚卸高(期末の売れ残り在庫)を仕入勘定の貸方に記入することによって、複式簿記特有の反対記入による引き算の原理にもとづき、仕入勘定の借方残高が自動的に「売上原価」(=当期に販売した商品を仕入れた時の原価合計)を表すことになります。従って、仕入勘定は期末決算において勘定を締め切った時点で「売上原価」を表す損益勘定に「変身」することになります。
これをまとめると、
①前期繰越高+②当期純仕入高―③期末棚卸高=④売上原価
という関係が導かれます。企業が作成する実際の損益計算書もこうした手順で売上原価を誘導表示する様式になっています(教科書の89ページに示した図表5-4の最下段の損益計算書のひな形を参照のこと)。
2.2種類の引当金
教科書の90ページで記した「5-2-2 各種引当金への繰入」も主な決算整理事項の一つです。その場合、引当金には2種類あることに注意する必要があります。
一つは、「評価性引当金」と呼ばれるものです。これは主に、資産の減少を予測し、それを取得原価で計上される有形固定資産勘定等から間接控除することによって、当該有形固定資産の正味回収可能額を表すための引当金です。売掛金や貸付金などに予想される貸倒れの見積額を引き当てる貸倒引当金は評価性引当金の典型例です。資産の減少を表す評価性引当金への繰入れを仕訳で表すと、
(○○引当金繰入)×× (○○引当金)××
費用の発生 資産の減少
となります。
もう一つは、「負債性引当金」と呼ばれるものです。これは当期かそれ以前に起こった事象を原因として将来発生する可能性が高い支出または損失を見積もり、それを当期の費用(借方項目)として計上する時に相手勘定(貸方項目)となる負債勘定です。負債性引当金への繰入れを仕訳で表すと、
(○○引当金繰入)×× (○○引当金)××
費用の発生 負債の発生
となります。
評価性引当金と負債性引当金については、教科書の231~232ページで説明しているので参照すること。
次回(11月10日)の授業では、「5-2 決算整理」、「5-3 財務諸表の作成」までを済ませ、その後に、決算の会計の演習問題を教室で配布して、その場で解答をしてもらう予定です。
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