« 2008年7月 | トップページ | 2008年11月 »

2008年10月

10月27日の講義のまとめと補足説明

講義の補足資料(教室でプロジェクターで表示)
 1027日の授業では、はじめに前回の授業で説明した、「第4章 期中の会計」のおさらいをした後、「第5章 決算時の会計」に進みました。説明にあたっては、教科書の77ページに掲載した〔数値例41〕を素材にして、各取引がどのような借方要素と貸方要素が結合したものであるかを仕訳で説明しました。その際には、次のように、〔数値例41〕の各取引の仕訳を再掲するととともに、借方、貸方要素を記号で示しました。
 〔数値例41〕の仕訳
  http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/suchirei4-1_shiwake.pdf


 また、「決算時の会計」の最初に登場する各勘定残高を残高試算表に集計する手順に関しては、次のような図解を使って説明をしました。
  各勘定残高から残高試算表への転記(集計)
  http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/TB_no_sakusei.pdf


決算整理の補足説明
1.商品関連記録における仕入勘定の性格
 次に、決算整理事項に移り、教科書の88ページ以下に記した主な決算整理事項を順次説明しました。

 1027日の授業では、「521 商品関連記録の補正」、「522 各種引当金への繰入」、「523 有形固定資産の減価償却」まで進みました。
 このうち、特に注意をしたいのは商品関連記録の整理の中の仕入勘定の性格についてです。毎年度、この箇所の授業のあと、「商品を仕入れたとき、なぜ、(借方)仕入と記入するのか、なぜ(借方)商品と記入しないのか?」という質問を受けます。
 確かに、教科書の89ページの図表54で記したように、「仕入勘定」は期中では商品の受け入れ、値引き、返品等を表す「資産勘定」です。しかし、決算の究極の目的の一つである損益計算(ここでは売上総利益計算)の観点からいえば、期末決算に至ると仕入勘定の借方合計(=前期繰越高+当期純仕入高)は販売のために受け入れた商品の仕入原価合計を表すことになります。その上で、期末棚卸高(期末の売れ残り在庫)を仕入勘定の貸方に記入することによって、複式簿記特有の反対記入による引き算の原理にもとづき、仕入勘定の借方残高が自動的に「売上原価」(=当期に販売した商品を仕入れた時の原価合計)を表すことになります。従って、仕入勘定は期末決算において勘定を締め切った時点で「売上原価」を表す損益勘定に「変身」することになります。
 これをまとめると、
  ①前期繰越高+②当期純仕入高―③期末棚卸高=④売上原価
という関係が導かれます。企業が作成する実際の損益計算書もこうした手順で売上原価を誘導表示する様式になっています(教科書の89ページに示した図表54の最下段の損益計算書のひな形を参照のこと)。

2.2種類の引当金
 教科書の90ページで記した「522 各種引当金への繰入」も主な決算整理事項の一つです。その場合、引当金には2種類あることに注意する必要があります。
 一つは、「評価性引当金」と呼ばれるものです。これは主に、資産の減少を予測し、それを取得原価で計上される有形固定資産勘定等から間接控除することによって、当該有形固定資産の正味回収可能額を表すための引当金です。売掛金や貸付金などに予想される貸倒れの見積額を引き当てる貸倒引当金は評価性引当金の典型例です。資産の減少を表す評価性引当金への繰入れを仕訳で表すと、
 (○○引当金繰入)××  (○○引当金)××
    費用の発生              資産の減少
となります。
 もう一つは、「負債性引当金」と呼ばれるものです。これは当期かそれ以前に起こった事象を原因として将来発生する可能性が高い支出または損失を見積もり、それを当期の費用(借方項目)として計上する時に相手勘定(貸方項目)となる負債勘定です。負債性引当金への繰入れを仕訳で表すと、
 (○○引当金繰入)××  (○○引当金)××
     費用の発生        負債の発生
となります。
 評価性引当金と負債性引当金については、教科書の231232ページで説明しているので参照すること。

 次回(1110日)の授業では、「52 決算整理」、「53 財務諸表の作成」までを済ませ、その後に、決算の会計の演習問題を教室で配布して、その場で解答をしてもらう予定です。

|

財務諸表の体系と作成原理(配布資料掲載)

 10月20日の授業では、教科書の順序に代えて、第3章 財務諸表の体系、第4章 財務諸表の作成原理-(1)期中の会計-(77ページまで)を講義しました。
 財務諸表の体系を習得してから、第2章の基礎概念と一般原則、を説明した方が理解しやすいと考えたからです。
 10月20日の授業で使った資料(教室で配布)を掲載しておきます。入手できていない受講者は各自、この資料をダウンロードして印刷してください。

財務諸表の種類と作成方法
http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/ch3_FS_no_shurui_to_sakuseihouhou20081020.pdf

なお、次回(10月27日)の授業は教科書の77ページの【数値例4-1】を使って、期中の会計の演習をやります。その後、第5章 決算時の会計に進みますが、10月20日に配布した上記の資料を引き続き使いますので持参すること。

|

第1章(会計の機能)の演習問題

 106日の講義では教科書の第1章「会計の機能と制度」を終えました。ただし、「114 会計情報の順機能と逆機能」は駒場での講義としては高度な内容ですので省略しました。また、「12 会計規制の体系」は知識習得が主となる内容ですので、教科書に沿った説明にとどめました。

 以下は、「11 会計の機能」を復習し、理解を深めるための〔演習問題〕です。教室でプリント(「コンビニ会計をめぐる争点」)を配布し、講義で取り上げた「コンビニ会計」を題材にしています。各自、解答すること。正解は1018日ごろにこのブログに掲載します。

「コンビニ会計をめぐる争点」
http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/konbinikaikei20081006.pdf

〔演習問題〕
(問1) 上記のプリントに掲記した設例によれば、コンビニ会計方式では、以下のとおり、成果分配のパイとされる売上総利益は通常の企業会計方式を採用した場合よりも増加する(400円 → 640円)のに、コンビニ店主(加盟店)が不利益を蒙るとして提訴をしたのはなぜか? 

(問2) 1円廃棄方式を採用したら、成果分配のパイとされる売上総利益はコンビニ会計方式より少なくなる(640 → 404)のに、なぜ一部の店主(加盟店)はこのような方式を「考案」したのか?

企業会計方式

コンビニ会計
方   

1円廃棄方式

売上高

1,600

1,600

1,604

売上原価

960

1,200

1,200

廃棄ロス

(+240

(-240

   

売上総利益

400

640

404

ロイヤルティ

200

320

202


(問3) かりに、売上総利益ではなく、営業利益にもとづいて本部に分配されるロイヤルティが算定されるとしたら、本部と加盟店の間での成果分配をめぐる利害調整につき、会計上での廃棄ロス(棚卸減耗損のこと)の会計処理方法のいかんはどのような影響を及ぼすか? 

【注】 
 (問3)の解答にあたっては損益計算書の様式、棚卸減耗損の会計処理方法についての予備知識が必要ですが、講義ではまだ触れていません。教科書の5759ページと109110ページの説明を参照すること。

**********************************************************

余録

 先週、本郷キャンパスの三四郎池のそばの砂利道を通りかかると、地面に降りた鳩に出会った。近づいても怖がる気配がないので、しゃがんでよく見ると1本足だった。しばらく様子を見て、とっさに携帯電話を取り出し、シャッターを押すと、音に驚いて飛び去った。後で、あの鳩は、また片足で地上にうまく降りられるのかと考えたりした。

Photo_4   

|

10月6日配布資料――コンビニ会計をめぐる争点――

 開講日の106日にはテキスト第1章「会計の機能と制度」を講義しました。下記は当日、教室でプリントを配布した、「11 会計の機能」、特に、利害調整の尺度を提供する会計の機能について理解を深めるための補足資料(題材)です。
なお、プリントの冒頭で「講義の進め方について」掲示しているので、確かめておくこと。

「コンビニ会計をめぐる争点」
http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/konbinikaikei20081006.pdf

|

「会計」開講にあたって

 106日から、私が担当する「会計」が駒場キャンパスで開講となります。開講にあたって、講義の進め方等について伝えておきます。

 1.講義は教科書として指定した、醍醐聰『会計学講義』第4版、東京大  学出版会、2008年刊にそって進めます。
 2.教科書を補足する資料はプリントして教室で配布します。
 3.上記2の講義用補足資料の他、講義の復習用の演習問題と正解、解答  にあたっての考え方、より進んだ学習のための資料等はこの講義用ブ  ログ(URLは下記)に掲載するので各自アクセスすること。
  http://sdaigo-kougi.cocolog-nifty.com/
 
4.授業に欠席して2の資料のプリントを受け取れなかった受講者は次週  の講義までに、この講義用ブログに掲載した資料を各自でプリント   して入手しておくこと。

|

「会計」(2008年度冬学期)講義用ブログの開設

このブログは、これ以降、当分の間、駒場キャンパスで開講する「会計」の講義用ブログとして使用します。

 
********************************************

  下の写真は8月下旬にドイツに出かけた折に訪ねたワイマールのイルム公園である。公園の入口にはリストが晩年過ごした館があり、園内にはゲーテハウス(別荘)がある。広大な緑地のあちこちに生い茂る木々ははや黄色く色づき、その間をゆったりと流れるイルム川の光景に和まされた。

Photo_2

|

« 2008年7月 | トップページ | 2008年11月 »